日本生物防除協議会について

自然界に普通に存在する微生物のうち、「病原菌から植物を守る微生物」や「害虫から植物を守る微生物」を選抜し、生きた状態のまま使いやすく工夫した製剤です。病害虫から作物を守る効果、使用する微生物や製剤の安全性、品質などが審査され、農薬取締法に基く農林水産大臣による農薬としての登録を受けたもので、一般的には微生物農薬と呼ばれています。

環境保全型農業の推進

日本の生物農薬の利用促進に関する声明 (築地宣言)

2017年9月27日
日本生物防除協議会

<背 景>
農業現場で生物農薬を利用する動きは世界的に大きな流れとなっており、我が国においても過去40年以上に渡り、学会あるいは農業指導の現場では継続的に取組まれている。
しかしながら、その現実はとみると、生物農薬の出荷額はいまだわが国の農薬出荷額の1%程度で推移している状況である。

化学農薬は新規に開発された農薬でも、その継続的な使用により病害虫・雑草に対して効果が低下していく抵抗性問題に直面することが多く、発売後わずか数年で抵抗性が出てしまう化学農薬もあり、農業現場でしばしば問題となっている。
一方、生物農薬は、化学農薬に比べて抵抗性発現の可能性は極めて低いため、生物農薬を適切な頻度で使用することは、新剤開発が難しい化学農薬の抵抗性発現を緩和し、農業生産を安定させるための有効な手段である。

また今後、農作物の輸出促進と輸入品への対抗は重要な課題であるが、農薬残留基準が厳しい欧州などの海外へ農作物輸出を促進する場合、あるいは逆に、増大する輸入野菜に対抗するためにも、生物農薬の積極的な利用は我が国の農業生産者にとって強い武器となり得るものと考える。

<提 言>
日本生物防除協議会は、我が国の農業の発展のために、生物農薬の健全なる利用促進と発展を目指し、様々な活動を行うことを宣言する。

上記を鑑みて以下のような方法の実施を検討する。

  1. 消費者、農産物流通業界への生物農薬の技術情報を公開し、
    利点と必要性を訴求する。
  2. 官公庁に対し、生物農薬の利用促進を政策として
    取り上げることを要望する。
  3. 上記を目的としたマスコミへの効果的なアプローチを実施する。
  4. 各都道府県に対し、生物農薬使用を前提とした
    防除暦の提案を進める。

<達成目標>
日本の生物農薬の出荷額が長期的に農薬出荷額の50%(150億円程度)を目指し、まず2020年までに生物農薬の出荷額が日本の農薬出荷額の 2%(60億円程度)を越えることを目標とする。(2015年農薬出荷額3,700億円 生物農薬+フェロモン出荷額 37億円)

日本生物防除協議会について

JBCA

日本生物防除協議会(Japan BioControl Association)は、日本微生物防除剤協議会(2006年~)および日本バイオロジカルコントロール協議会(1997年~)の合併により、2016年4月に発足いたしました。 生物農薬(天敵製剤、微生物殺虫剤・殺菌剤)及びフェロモン剤を用いた生物防除技術だけではなく、それらの技術と併用可能な化学農薬を合理的に組み合わせた「IPMプログラム」を確立し普及・啓蒙することで、持続可能な農業生産を支え、日本農業の発展に寄与することを目指します。 ご支援、ご協力いただける会員を募集しておりますので、作物保護製品・技術の製造販売および普及に取り組まれている皆様方におかれましては、ぜひご入会くださいますよう宜しくお願い申し上げます。